「更新料」最高裁判決について

【固い内容なので・。愛犬ちび】
【固い内容なので・。愛犬ちび】

 7月15日。更新料について最高裁判決出ましたね。

 

 判決は更新料有効。

 

 あるケースでは、原告側(訴訟を提起した借主)は高額な更新料(1年毎に2ヵ月分の更新料)についてのみ提訴すれば別の結果が出たのではないかと思いますが、今回は「更新料」そのものの存在まで踏み込んだ内容にしたことで、このような結果になったのではないかと考えます。

  

 以下は、私がある機関に「更新料判決を受けての感想」というものを提出したものです。

 

 興味のある方は読んでみてください。

 

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 更新料無効判決が出た場合、今日まで培ってきた宅建業界の透明性、公平性を求める姿勢が否定されるのでは、と心配しておりました。

 私は宅建協会理事として、各役所に出向き無料相談員として相談者の対応もしております。

相談者が持参する昭和40年代の賃貸・売買契約書を見てみると両者のバランスを欠いた内容や、お互いの危険回避対応策の不備等が見受けられ「これで手数料をもらっていた時代があったのか」と、今も尚つづく社会全体が持つ「不動産屋」の負のイメージを持たざるを得ませんでした。

このような社会全体のイメージを一掃しようとする不動産業界は「社会の信頼を得られる業界づくり」を掲げ、それを各不動産業者は意識し、重要事項説明書の義務化や、更にお互いのメリット、デメリットまでも書面化する動きまでしております。現在の宅建業界は、どの業界にも誇れるコンプライアンスを持っている、そしてさらに高い次元を求める姿勢があります。

重要事項説明書にあるように、「事実」を書面化するだけではなく、契約者両者に対して「○○の可能性があり得る」という条項まで義務付けていることを考えれば、借主の負担金額を明記している以上これを否定することは出来ないと考えておりました。

逆に借主の訴状に「専門性が無く、不動産業者の言いなりに・・・」という部分もありますが、住宅供給状況を鑑みても、賃貸条件に不満や不審点があれば自分で納得する物件を選べる状況にあるはずです。

もちろん有無を言わさず契約を迫るような不動産業者もあるでしょうが、このような業者は「それぞれの問題である」とする考えと、業界としても業務指導や業務停止を勧告する自浄作用があります。

 最後に、今回は更新料の「高低額の問題」としただけではなく「更新料制度そのもの」まで言及した訴訟でした。ここに「アメリカ的な訴訟傾向にあるのではないか」とも考え、今後の不動産契約書及び重要事項説明書作成の重要性・慎重性を改めて考えさせられました。

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コメント: 2
  • #1

    鈴木 (月曜日, 01 8月 2011 12:06)

    事務所を貸しています。もし更新料が無効となった場合、いままでもらっていた更新料を返さないといけなかったのですか。教えてください。

  • #2

    モリトーク編集長 (木曜日, 04 8月 2011 09:43)

    コメントに関する簡単な考え方を記載します。
    消費者保護法は、事業者と消費者との間で結ばれる契約に付き、事業者と消費者では『情報の質・量、交渉力に大きな差がある』という前提に立ち、一定の場合につき消費者側に契約を取り消すことの出来る権利を与えた他、不当な内容の条項を無効とするなど、消費者の利益を護ることを目的としています。
    簡単な考え方として、借主が『法人』の場合には更新料の返金は不要でしょう(情報量・交渉力は充分備えているとみなす)。
    また、借主が個人の場合でも一概に『法人ではないから』という理由で支払済み更新料の返還をする必要はないように思います。
    詳しくは、それぞれのケースにより違いますので連絡下さい。