【○○年家賃保証・○○年一括借上げって安心なの?】
いわゆる「サブリース的な制度」のことです。
☆普通の賃貸借契約は『家主⇒借主』
(家主が物件を借主に貸すこと)
☆サブリース契約は『家主⇒借主(=不動産会社)⇒借主』
(家主が物件を不動産業者へ貸す。その後不動産業者は貸主になり借主に貸す)
つまり、サブリース契約は『転貸借』(借主が貸主なること)というイメージです。
*ちなみに、一般的な普通賃貸借契約書では『転貸』を禁止しております。
さて、この仕組みで分かるとおり、普通賃貸借契約では家主さんと借主さんは直接賃貸借契約を締結する流れに対して、サブリースは、家主さんの所有物件に対してワンクッション入り、入居者がいる感じです。
ワンクッションとなる「不動産屋」は、ワンクッション入る(利益を得る)以上、家主さんへのメリットを出す必要があります。
そのメリットが「家賃を保証する」というものです。
家主さんとしては「なるほど。○○年も家賃保証してくれるなら安心だね」
となりそうですが、ちょっと考えてください。
①家主さんが直接借主に貸す「普通賃貸借契約」の収入額より減額します。
<理由>
不動産屋は満室賃料を保証することになりますから、『空室時のリスク回避』と『利益』を考慮すると、例えば、数室空室状態が続いても補填可能な賃料。つまり、市場より低い賃料を家主さんに提示することになります。
<例>
全10室・市場賃料各室6万円のアパートの場合
1ヶ月の賃料合計は60万円
普通賃貸借契約の場合、家主さんの収入額60万円
サブリース契約の場合、不動産屋さんの収入額60万円
⇒60万円の収入の内、空室リスク・利益等を差し引く
⇒家主さんへ支払われる額48万円(←例えば)
②○○年家賃保証!と言っても数年毎に賃料の見直しを迫られます。
<理由>
判例に『超長期に渡る保証というのは経済変動の中では現実的では無い。従って、数年毎に更新することが一般的であり、営業トークや宣伝等で「○○年一括借上げ」と謳うことは問題ない』とあります
↑この考えの根本は家主と不動産屋さんの間の契約は「賃貸借契約」にあたる。
つまり、賃貸借契約の基本である「借主に不利な契約は無効」という考えもあるのでは?
入居率が一番安定している「新築~5年・10年」は家主と不動産屋が互いに合意した賃料(円満に)で賃料保証をすることになるでしょう。
しかし、更新の際「経済変動・老朽化」等を理由に家主と不動産屋が賃料の合意に至らず、サブリース契約を解除するケースがあるようです。
その後どうなるか?
10年以上経つと、新築・築浅というメリットが薄まり、空室が「やや目立つ」状況になってきます。
一番心配な時期に「賃料保証」が無くなる状況に・・・。
つまり。
多額の支出をしてまで、満室状況がほぼ確定している時期に「賃料保証」「一括借上げ」をするメリットは無いのでは?と当社は考えております。
*管理委託契約は「サブリース」とは違います。