【定期賃貸借契約ってなに?】
定期賃貸借契約は以前より存在していました。
この契約スタイルが適用されるケースとして今までは、以下のようなシーンが一般的でした。
(例)
Aさん:川越で夢の分譲マンションを購入したぞ!
でも突然、大阪転勤の辞令が…。
社長:「3年でまた帰って来れるから頑張れよ!」
Aさんは、ローンの支払いもあるから賃貸しよう!
でも、3年後、川越に帰ってきた時に、入居者はちゃんと出て行ってくれるのかな?
こんなケースで定期賃貸借契約を締結していました。
「3年間だけ貸します(3年後は必ず退去してくださいね)」という契約です。
前面に「定期賃貸借契約」を謳い、募集をすると相場賃料より減額する必要がありました。なぜなら、借主は3年間しか入居できないので、3年後は、引越しやその他の手続きが必ず発生するからです。
定期賃貸借契約は一定の期間で契約が完結する、つまり更新という概念が存在しないのです。仮に、上記シーンで川越に帰ってくることが難しく、大阪勤務がさらに3年延長する場合には、貸主は借主との合意のもと「更新」ではなく「新契約」を締結することになります。
それじゃあ、「普通賃貸借契約」も同じ感じじゃないの?と思われがちですが、以下の要件を満たさない限り、契約の更新をしなくてはいけないのです(借地借家法26・28条。各契約書の条文中の解除条項に該当する事案が発生すれば解約ではなく、解除にはなります)。
<普通賃貸借契約において、家主からの更新拒絶要件(借地借家法)>
①契約期間の満了までの6ヶ月前までに「更新しない」旨の書面を借主へ
②かつ、正当な事由が必要(転勤で帰ってくるというのは正当事由にはなりません)
③「更新しない」特約をしても無効!
普通賃貸借契約で契約締結すると、契約解除事案が無い限り、ほぼ契約は更新されるイメージなんです。
もちろん、普通賃貸借契約を締結することは「借主の居住の安定」という側面では当然の契約スタイルですが、ココで考える事案があります。
・転職したばかりなので収入が未確定で、退社する可能性がある入居候補者
人柄や連帯保証人もしっかりしてはいるんだけど…。
・特にペットOK物件で、犬の躾は大丈夫なのか?無駄吠えして他の入居者の迷惑に…。
・家族が面倒を必ず見るといっても、単身高齢者の受け入れをすると…。
等々、最近では、家主さんとしての不安要素は膨らむ一方ですよね!
そこで「定期借家契約」の登場です!
信用は出来る人だけど、少~し不安要素があるんだよね…という入居候補者は、入居候補者に「最初の1年だけは定期賃貸借契約だけど、仕事も続けば(犬の躾が問題なければ等々)、2年目からは普通賃貸借契約にしましょう」という話をし、まずは定期賃貸借契約を締結するというようにリスクを軽減する方法もあるのです。
ただし、定期借家契約は借主さんの充分な理解が必要だということは言うまでもありません。
定期賃貸借契約の存在と理解を深めることで空室対策にもなるのではないででしょうか?
*普通賃貸借契約を締結している入居者と、次の更新時に定期賃貸借契約に移行することは出来ません。普通賃貸借契約が終了すれば問題はありませんが…。これ以上はお電話下さい。